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其ノ参
―それがお前の答えか?―
は?何が?
―へー。もっとと好がる……ねぇ。―
だから何だよ?つかお前だれだっつぅの?
―面白い。それがお前の本当の回答だというのなら…―
え、ちょ、おい!俺の言う事は無視か!って何処に行くんだよ!!
「あー終わったぁ!なぁなぁ、お前どうだった?」
終了を知らせるチャイムが鳴ると同時に教室が騒がしくなる。
俺の前に座ってる友人が伏せる俺に声をかけてきた。
「おーい、起きろって。無視すんなー?」
目は覚めていた。
だが頭が重くて寝たふりをする俺に、答えを求めて肩を掴み揺さぶられる。
「チッ、無視されたのは俺のほうだっての。」
「あんだよ、起きてんじゃん。で、なんだって?」
現実と混合してしまうくらいリアルな夢。
誰かに自分の腹を探られているみたいでイライラする。
おまけに起きれば酷い頭痛に襲われ、舌打した。
そんな俺の現状も知らずに、テストからの開放感で満面の笑みを浮かべる友人が俺の顔を覗き込む。
仕方なく俺は顔を上げて何でもないと独り言を誤魔化した。
「で、テストの結果がどうって?…いつも通りだよ。」
それだけ答えると頬杖をついて窓の外に視線を投げた。
今、目の前の野郎の笑顔を見ていると正直。
殴りたい。
「くっそー!万年主席様の言う事は格好良くてムカつくぜー!!」
爽快なほどの笑い声を上げながら俺の頭をガシガシと撫でてきた。
…ぶっ殺す。
最高潮に達した怒りを抑えつつ、俺の頭を撫でていた手を捻り上げ睨む。
「ウザイ。」
「イデデデデッ!!ごめんごめん!」
観念したところで腕を放してやると、その瞬間に俺の脳内で声がした。
―それがお前の答えか?―
頭の芯が痺れるような電流が一瞬走り顔が歪む。
こめかみを押さえて俯いていると、さっきのテスト問題が頭に浮かび上がった。
「………なぁ。お前、さっきのテスト問題の最後。回答何て書いた?」
急な問いかけにぽかんとしたマヌケな顔で友人がクビを傾げる。
「だから、最後のボーナス問題みたいなやつあっただろ?」
「あーあれ!意味わっかんねーよなぁ!!ちょー難しすぎだっつぅーの!」
さっきまで腕を擦っていたのも忘れて俺の机に両手を叩きつけると、顔を寄せてきた。
俺は野郎の返答が気に入らなくて、寄せてきた顔面を掴みかかる。
「だーかーらー。回答は何て書いたかって聞いてんだよー。あ“ー?」
「ちょ!ゴメ、ゴメンって;最後の三次関数問題だろ?俺にはハイレベルすぎて解けませんでしたよー!!」
俺は時間は一瞬停止する。
なんだって?三次関数?…は?
俺は動揺を隠しつつもう一度問う。
「ち、ちげぇーよ。心理テストみたいなやつだよ。逃げられない場所で、どうやって相手に思いを伝えるかって問題あったろ?」
友人は俺が何を言ってるのかさっぱり解らないとでも言いたげな目で俺を見る。
俺も何を言ってんだよ、思い出せよ!と友人の肩を掴み問いただす。
もう一度テストの問題を思い出しているのか、ウンウンうなりつつ考え込み、暫くしてから顔を上げた。
「やっぱさ。そんな問題なかったぜ?」
その瞬間思考が停止した。
俺は再び外に視線を投げる。
じゃあ、さっきのテスト問題は?
夢は?
俺だけにしか見えなかったってことか?
まさか。
一体俺の中で何が起きてるってんだ。
何も映し出さない俺の眼は人形のように見開き動かなかった。
脳内が真っ白になる。
その中にハッキリとした声で夢のヤツが言う。
―さぁ、始まりの幕を上げようか―
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